食品添加物がIBDを引き起こす? その②
腸にとってあまり良くなさそうな食品添加物は、「乳化剤」だけではありません。
ダイエットブームの昨今、カロリーを抑える効果があり、清涼飲料水やお菓子などによく使われている「人工甘味料」も、腸内細菌のバランスを乱し、IBDや過敏性腸症候群といった腸の病気だけでなく、肥満や2型糖尿病になるリスクを上げることが報告されています。
だからといって、「食品添加物を使っている食品は絶対食べちゃダメ!」とは簡単には言えません。
もし、食品メーカーが食品添加物を一切使わなくなったら、どうなるでしょうか?
残るのはお米と国産の生鮮食材だけで、加工食品は一切なくなってしまいます。
使える調味料は砂糖、塩、醤油、味噌、鰹節、昆布ぐらいで、ほぼ自給自足の昔の生活に戻らないと、食品添加物抜きの生活は成り立ちません。
しかも、IBDを発症した患者さんにおいて、これらの食品添加物を除いた食事で病気が改善するかどうかについて調べた研究は、まだありません。
必要以上に食品添加物を恐れることはありませんが、IBDの患者さんにはできる範囲で加工品ではなく素材から調理すること、お米を中心とした和食をバランスよく食べていただくことをお勧めします。
あっ!ただし、大豆製品の食べ過ぎには気を付けた方が良いかもしれません。
日本人を対象にした研究で、大豆製品に含まれるイソフラボンの過剰な摂取(食べ過ぎ)がとくに女性の潰瘍性大腸炎の発症リスクになることが分かっています。
その理由は良く分かっていませんが、イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと似ており、経口避妊薬や閉経後のホルモン補充療法によって潰瘍性大腸炎になりやすくなるのと同じようなメカニズムが考えられています。
今のところ、潰瘍性大腸炎を発症した患者さんが、イソフラボンの摂り過ぎで調子が悪化したり再発したりするのかについては、まだ分かっていません。
大豆は基本的にとても良い栄養源です。食事は極端に偏らないように注意し、バランスを取ることが肝心だと思います。
IBD患者さんの食事については、厚生労働省の難病研究班のホームページhttp://ibdjapan.org/patient/に詳しい資料「炎症性腸疾患患者さんの 食事について Q&A」がございますので、ぜひご参照ください。